LDPE・HDPEの
違いとは?
素材の特徴や用途を
徹底解説!

What’s the Difference Between
LDPE and HDPE?
Comprehensive Explanation of Material Characteristics and Uses

ポリエチレンは日常生活で広く利用される素材であり、さまざまな種類が存在します。
特にLDPE(低密度ポリエチレン)HDPE(高密度ポリエチレン)は、幅広い用途に使用されています。

この記事では、LDPEとHDPEの基本的な特性から、それぞれの素材が適している用途、製造方法について詳しく解説します。
ポリエチレンについて知識を深め、用途に合った素材を選びたい方はぜひ当記事を参考にしてください。

1.LDPE・HDPE
とは?

LDPE(低密度ポリエチレン)とHDPE(高密度ポリエチレン)はいずれも、ポリエチレンの一種です。ポリエチレンはさまざまな製品の原料に活用されています。

ポリエチレンの主な特徴は、以下の通りです。

  • 加工性が高い
  • 耐水性が高い
  • 絶縁性が高い
  • 水に浮く

LDPE

HDPE

ポリエチレンは熱によって軟化する「熱可塑性樹脂」に分類されるため、さまざまな形状に加工できます。ポリエチレンの吸水率は極めて低く、一定の防水性や耐水性を期待できることも長所の1つです。絶縁性とは、電気の通しにくさを意味します。ポリエチレンは絶縁性が高く、ほぼ電気を通さない素材です。

ただし、ポリエチレンの特徴は種類によっても異なる点に注意しましょう。ポリエチレンは、エチレンと呼ばれる無色の気体に触媒を混ぜて高温高圧環境に置き、重合(化学反応の一種)させて生成する仕組みです。触媒や重合方法を変更すれば、特徴の異なるさまざまなポリエチレンを生成できます。

LDPEとHDPEの違いと特徴は、以下の通りです。

1-1.LDPE(低密度
ポリエチレン)の特徴

LDPE

LDPEは、密度が0.91以上0.93未満程度のポリエチレンです。LDPEは「高圧法」と呼ばれる方法でエチレンを重合し、生成されます。

LDPEの主な特徴は、以下の通りです。

  • 柔軟性が高い
  • 耐水性や耐薬品性が高い
  • 透明性が高い
  • 絶縁性が高い
LDPE(低密度ポリエチレン)の特徴の写真1 LDPE(低密度ポリエチレン)の特徴の写真2

生鮮食品のパックにかけるラップや食品保存容器は、LDPE製品の代表例です。

LDPE
タッパ

LDPE
ラップ

LDPEは衛生性に優れた特徴も持つことから、食品関係の包装にも安心して使用できます。その反面、LDPEの耐熱性は低く、加熱調理用のラップには適しません。

LDPE
黒色ゴミ袋

LDPE自体は透明性が高い特徴を持つものの、着色剤を使用して、半透明や黒色の製品を生産できます。たとえば、ツルツルとした質感で黒色のゴミ袋もLDPE製品です。

1-2.HDPE(高密度
ポリエチレン)の特徴

HDPE

HDPEとは密度が0.94以上程度で、「ハイデン」とも呼ばれているポリエチレンです。HDPEは「中圧法」もしくは「低圧法」と呼ばれる方法でエチレンを重合し、生成されます。

HDPEの主な特徴は、以下です。

  • 柔軟性が低い
  • 水や薬品への耐性が高い
  • 透明性が低い
  • 絶縁性が高い
HDPE(高密度ポリエチレン)の特徴の写真1 HDPE(高密度ポリエチレン)の特徴の写真2

HDPEはLDPEと比較して硬く、引っ張り強度に優れている素材です。

HDPE
シャンプーボトル

LDPE製品と同様の強度のHDPE製品を生産する場合、薄肉形状を採用すれば、コストカットを図れます。HDPE製品の色味は透明でなく、白濁していることが特徴です。

2.ポリエチレン素材の用途

ポリエチレンは日用品から自動車の部品まで、さまざまなプラスチック製品に採用される素材です。ただし、ポリエチレンの特性は種類によって異なることから、LDPEとHDPEの違いを意識し、適した素材を選択しましょう。

以下では、LDPEとHDPEの主な用途と各素材の注意点を解説します。

2-1.LDPE(低密度
ポリエチレン)が
適している場面

LDPEは素材自体の柔軟性や透明性の高さを生かし、ラップや食品用フィルムの素材に多く使用されます。

LDPEは耐水性が高いことから、湿気を防止したい商品の包装材にも使用が可能です。また、LDPEは耐薬性もある素材であるため、医療現場や研究機関で使用する保管容器の素材にも採用されています。

その他、LDPEの主な用途は、以下です。

LDPE
気泡緩衝材

LDPE
マヨネーズ容器

  • 金属板の表面保護材
  • マヨネーズ容器
  • ヒートシール
  • 気泡緩衝材
  • ポリ袋(米袋、砂糖や塩の包装袋、肥料袋など)

ヒートシールとは、封筒状の紙袋の上部にラミネートしたプラスチックを熱で溶かし、接着する技術です。LDPEには低温シール性があり、素材に採用することで、ヒートシールをスピーディーに行えます。

LDPEを使用したポリ袋は艶や高級感がある印象になります。

LDPEを使用したポリ袋には印刷がのりやすいため、展示会やイベント用途で使用されるケースもあります。ただし、LDPEを使用したポリ袋を小ロットで注文すると、コストがかさみやすいことには注意しましょう。

2-2.HDPE(高密度
ポリエチレン)が
適している場面

HDPEは強度が高く、耐久性に優れたHDPE ブルーシートあたることから、物流用のコンテナ・下水道管・排水管などの素材に使用されます。

身の回りの製品にもHDPEを使用したものは多く、汎用性の高さも魅力の素材です。

以下は、HDPEを使用した身の回りにある製品の具体例を示します。

HDPE
テープひも

HDPE
ポリバケツ

  • ポリバケツ
  • テープひも
  • ブルーシート
  • ポリ袋(コンビニ袋、スーパーのロール袋など)

HDPEは薄肉形状に加工したとしても、一定の強度を維持しやすい素材です。

そのため、大量生産するポリ袋のコストを抑えたい場合に重宝されます。ただし、HDPEを使用したポリ袋は柔軟性が低く、複雑な印刷に適しません。HDPEでポリ袋を作る場合には、1色もしくは2色で印刷を行うことが通常です。

HDPE
ブルー
シート

また、HDPEを使用したポリ袋には手で触れた際、シャカシャカと音が鳴りやすいデメリットもあります。コンサートなどの場面で使用するポリ袋では音が気になる可能性もあるため、注意しましょう。

3.そのほかの
ポリエチレン素材

ポリエチレンには、LDPE・HDPE以外にも複数の種類があります。超高分子量ポリエチレン・リニア低密度ポリエチレンの特徴も確認し、用途に適した素材を選択しましょう。

3-1.超高分子量ポリエチレン

超高分子量ポリエチレンは、150度以上の高温に耐えられるエンジニアリングプラスチック(工業用に開発されたプラスチック)です。

超高分子量プラスチックは耐衝撃性にも優れているため、産業分野の製品に広く活用されています。

超高分子量ポリエチレンの主な用途は、以下です。

HDPE
船舶用
ロープ

HDPE
ローラー

  • コンベア
  • ローラー
  • ガイドレール
  • 食品機械
  • 船舶用ロープ

超高分子量ポリエチレンには、標準グレード・帯電防止グレード・導電グレードなどの種類があります。超高分子量ポリエチレンの特徴はグレードによっても変化するため、詳細を確認した上、使用を検討してください。

また、超高分子量ポリエチレンは高温下に置いた場合の寸法変化が大きい素材にあたります。超高分子量ポリエチレン製品を使用する際には、作業・保管環境の温度管理を徹底しましょう。

3-2.リニア
低密度ポリエチレン

リニア低密度ポリエチレンは、「直鎖状低密度ポリエチレン」「LLDPE」とも呼ばれる素材です。

リニア低密度ポリエチレンはLDPEとほぼ同様の特徴を持つものの、厳密には、以下の点で異なります。

  • リニア低密度ポリエチレンのほうが物理的強度は高い
  • リニア低密度ポリエチレンはLDPEと比較して融点が高い

ただし、リニア低密度ポリエチレン製品の見た目はLDPE製品とほぼ変わりません。製品の特性を踏まえ「あえて区別する必要がない」と判断される場合には、リニア低密度ポリエチレン製品の素材を「LDPE」と表記することもあります。

リニア低密度ポリエチレンの主な用途は、肥料袋・樹脂袋・水道用パイプなどです。

リニア低密度ポリエチレン製の水道用パイプは、災害発生時の耐衝撃性が高く評価されています。

まとめ

ポリエチレンは多様な特性を持っており、幅広い産業で必須の素材です。

特に多く使われているのがLDPE(低密度ポリエチレン)とHDPE(高密度ポリエチレン)です。

LDPE(低密度ポリエチレン)の特徴の写真3

LDPEはツルツル素材で、柔軟性と透明性に優れ、食品包装や日用品に広く使用されています。

HDPE(高密度ポリエチレン)の特徴の写真3

HDPEはシャカシャカ素材で、硬度と耐久性に優れ、工業用部品や容器などに適しています。

LDPEとHDPEのどちらを使用するか、正しく選択することで製品の機能性とコスト効率が大きく左右されます。
ポリエチレンを使用するときは、各素材の特色を押さえておきましょう。

お電話をいただいた際は、営業担当者より折り返しご連絡をさせていただきます。
ZoomSkypeを利用したオンラインでの打ち合わせが可能です。

お電話をいただいた際は、営業担当者より折り返しご連絡をさせていただきます。
ZoomSkypeを利用したオンラインでの打ち合わせが可能です。